クロム革、ヌメ革について
クロム革、ヌメ革について
原皮の”皮”から”革”へと商品として鞣された革は、主に2種類の方法で革の柔らかくする工程である鞣しを行います。
まずは、クロム鞣し。クロムとは金属由来の薬品で、この薬品を使用し革の下地の制作をすると非常に柔らかくなるのが特徴です。主に20世紀大量生産、大量消費の発想の基に開発された産業革命の影響を受けた手法で、今でもリーズナブルに革の生産を行うことが出来ます。戦前の所謂、昭和の時代には安価で毒性の知られていなかったこともあり、今は規制された6価クロムを使用して鞣しを行うこともありました。
現代においても尚、生産性の価値の高さと革の多品種への順応性から使用されている製法がクロム鞣しになります。上記写真は現代的工場でタイコを使用しクロム鞣しを行っている所です。ここで商品は、原皮からウェットブルーへと変貌します。
2つ目はヌメ革を鞣す際に使用される、植物性タンニン鞣しの製法です。
タンニン鞣しの特徴は、自然由来の植物の素材のみを革の鞣しに使用することです。タンニン鞣しとは主に樹木の幹や樹皮から採れる成分を加工し、じっくりと皮から革へと加工していく中で浸透させていき商品へと変貌させる手法です。
タンニン鞣しの特徴はタンニンの影響でふくらみ、革の厚みが作りやすいこと、また革の厚みの内部はお煎餅の様に繊維質が空洞化すること、また動物の表皮と同じくエイジングで色の変化が経年変化として現れることです。尚、ウェットブルーとは対照的に、主にタイコでタンニン鞣しを行った下地をウェットホワイトと呼びます。
浅草の革屋では”ヌメ革”、”ベジの革”、”タンニンの入った革”というとこちらが主流になります。
写真は、今では貴重なピット槽を持っているタンナーで浸透圧を使い薬剤を染み込ませ、ゆっくりと革の生産を行っています。
この他にもコンビ鞣しといった混合技法や、イタリア由来の製法や仕上げや染色の工程で様々な技法を使った製法がありますので、またお話しさせていただきます。